『マイクロフィルム版府県統計書集成』について

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府県統計書とは、各都道府県が明治16年頃から毎年刊行した、それぞれの管轄区域の統計書です。府県によっては、「県治一覧表」、「県治一覧概表」の名称で明治初年から刊行され、年を重ねるにつれ網羅する内容を充実させていきました。そのため本資料は、明治初年以降の各都道府県の変遷の姿を解明するための根本資料として知られています。

しかし、原本を揃えて所蔵している国内の機関がないため利用には制約が多く、復刻が待望されていました。1980年に、雄松堂から『マイクロフィルム版府県統計書集成』が復刻されたのを契機として、本統計書の活用が本格的になりました。それでも、全巻を揃えると、かなり高額になるため、所蔵できる研究機関は限られていました。

この復刻資料を山形大学にも何とか整備できないかと考えた、旧教養部の社会系列に所属していた諸先生方が「学内特定研究費」を申請(研究代表者:内藤辰美教授)され、無事、明治・大正期分の府県統計書を揃える予算が計上されて、本資料を備え付けられる運びとなりました。なお、この予算措置にあたり、申請書の準備から事務局での予算要求の説明に至るまで全面的にバックアップした、当時の田中重行係長を中心とする会計係のスタッフの尽力があったことを、ここに付言します。

2009年3月、本資料は保管を担当されていた葛西大和教授のご厚意により、附属図書館へ移管されました。小白川図書館1階に備え付けのマイクロリーダーにより利用できます。

府県統計書は、日本の国土、人口、産業、教育、衛生、交通、金融、議会を始めとする種々の統計を収録しています。その集計に利用された「公文書」が散逸してしまった今となっては、本資料は日本の近現代の各地域の留める貴重な資料です。学内外の多くの方のご利用をお待ちしています。