平成16年度公開講座 (この講座は終了いたしました)


商いの博物学 -古銭からマネーゲームまで-

                  元木幸一 (山形大学附属博物館館長)

 「お金」というとあまり上品な響きではありませんね。「商い」はどうでしょう。これもどうも胡散臭い感じがつきまとっていませんか。特に最近のように大企業の社長さんたちがマスコミの前で頭を下げることが頻繁に起こるようになってからは。山一、雪印、三菱自動車、トヨタもありましたね。大企業ではありませんが、山大もありました・・・(ゴメンナサイ)。とはいえ、経済が社会を動かすきわめて大きな動力であることは間違いがないでしょう。そのことは大企業の社長さんたちが何度頭を下げたって、それをマスコミが市民を代表するフリをして叩いたって変わらないのです。

 ただし私たち山形大学附属博物館は、経済学とは無縁です。博物館は「もの」を蓄えているところです。そこで、通常の経済学講座とは異なった切り口で、「お金」にアプローチしたいと考えました。例えば「もの」としての貨幣です。文字や、芸術の中にも「お金」は沢山登場します。また、「看板」は博物館が収蔵する「商い」の道具です。わが国では「のれん」といったほうが通りが良いかもしれません。「のれん分け」という言葉には、「のれん」というものがいかに「商い」にとって重要であるかが象徴的に示されているでしょう。

 わが博物館には紅花関係の資料が沢山あるのですが、山形の誇る紅花商人の経営戦略は面白いテーマですよ。そして、最後に現代の「お金」の介在しない取引の実態について最先端の現場からの報告を聞いてみましょう。もちろん、本講座を聴いたからといってお金持ちになることはありません。それは〜残念ながらありません。

 でも軽蔑したり、あるいは執着したり、どことなくぎこちない対処の仕方をしてしまっている「お金」や「商い」に、普通感覚でつき合うことができるようになるかもしれませんよ。さらに「商い」が文化史的にもかなり面白い営みであることに気がつくことでしょう。

 この「商いの博物学」公開講座という「商い」はけっして受講者の方々に損はさせないし、主催者側もおおいに儲けるつもりです。(といったって、たかがしれています)。それこそが「お互いの幸せ」というものでしょう。それこそ商いの極意は「お互いの幸せ」なのではないでしょうか。

開催期間  平成16年10月9日、16日、23日の各土曜日 計3回

        毎回2講座(1講座90分)13:30〜16:40

会場     山形大学小白川キャンパス(詳しい教室などは後ほどお知らせします)

募集人員  30名

受講料   4,000円

講師及び演題

1回目 13:00〜15:00
ワトーの<ジェルサンの看板>
山形大学助教授 阿部成樹
15:10〜16:40
金勘定をする人-ヨーロッパ中世の商人たち-
山形大学教授  元木幸一
2回目 13:30〜15:00
墨客商売-文学で飯を食った江戸の劇作者と版元-
明海大学教授 山本陽史
15:10〜16:40
海を渡ったお金、地下に埋められたお金〜中世渡来銭、ふしぎものがたり〜
山形大学助教授 三上喜孝
3回目 13:30〜15:00
紅花商人の経営戦略
山形大学教授 岩田浩太郎
15:10〜16:40
投機と信用文化-ヘッジファンドをどう使うか-
インベスターセレクトアドバイザーズ マネージングディレクター 関村正悟