武士の離縁状(米沢市 安田家文書)
ヨコ約40cm タテ約20cm
和紙に毛筆書き 天保二年(1831)
この離縁状は、米沢侍組の「安田友弥」が妻の父「福島掃部」に渡したものの写しである。「私妻悪縁に付、離別致し候。(略)再縁構えござなく候。」などと書かれている。
離縁状は一般に庶民のものと考えられており、武士においては離婚の際に藩に対して正式な届けが必要だったため、離縁状の授受はないものとされていた。藩名、所属階級および石高まで判明し、確実に武士の離縁状と認められるものとして、極めて貴重な資料である。
離婚の理由に具体的な事例をあげることを避け「悪縁」というタテマエ的表現を使っているが、これは妻の再婚を念頭に置いた夫側の思いやりであったのだろう。
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