一連の下駄は、江戸時代の紅花商人であった山辺町大蕨の稲村七郎左衛門氏が、紅花を京都で売ったその代金で、京阪地方から仕入れ使用していたものである。消耗品である下駄がこれだけまとまって収蔵されていることは全国的にも希であり、紅花による最上と京阪地方との結びつきを知る貴重な資料となっている。
下駄の特徴として、台形に広がった歯(形の似ていることから銀杏歯といわれている)と、差歯の柄が台部の表面にあらわれていることがあげられ、この構造はぬかるみを歩きやすくするためのものといわれる。
なお、附属博物館には稲村家の近世古文書が1,500点余所蔵されていて、紅花商いの大要を知ることができる。