山形大学紀要(医学) 第35巻 第2号(2017)61-68

解剖学的二重束前十字靱帯再建術における 大腿骨骨孔作製法の比較検討

鈴木朱美,成田淳,山本尚生,浅野多聞,福島重宣,高木理彰


【背景】膝前十字靱帯(anterior cruciate ligament; ACL)再建術において、より適切な位置に大腿骨骨 孔を作製するためにoutside-in 法で大腿骨骨孔を作製してきたが、貫通孔の場合は移植腱が骨孔内で異 常可動性を生じ、骨孔拡大や移植腱と骨孔の癒合不全を生じる可能性があった。この問題点を補うべ く、逆行性ドリルを用いて必要最小限の長さのソケット骨孔を掘削し、移植腱を密着させるより低侵襲 なソケット孔法に変更した。本研究の目的は、貫通孔群とソケット孔群の術後臨床成績およびMRI画像 での靱帯のリモデリング、骨孔壁と移植腱の癒合について検討することである。
【対象と方法】2008年から2015年に同一術者(著者)により解剖学的二重束ACL再建術が行われた108例 108膝を対象とした。貫通孔群79膝、ソケット孔群29膝、手術時平均年齢は貫通孔群21.9歳、ソケット孔 群26.2歳であった。再建術後1年時の Lachman test 陽性率、pivot shift test 陽性率、KT-1000による患 健側差および再断裂率について調査した。また術後6ヵ月、1年にMRI画像を撮像し得た貫通孔群20 膝、ソケット孔群7膝において前内側線維束(AMB)および後外側線維束(PLB)の移植腱実質部の信 号強度変化 (SIR)と、大腿骨骨孔の関節内開孔部の骨孔壁と移植腱間の高信号領域の出現率について調 査した。
【結果】術後の膝安定性、再断裂率では両群間に有意差は認めなかった。MRI画像による各線維束のSIR は、両群間および術後6ヵ月と1年で有意差を認めなかった。骨孔壁と移植腱間の高信号領域の出現率 は、ソケット孔群ではいずれの時期においてもAMB,PLBで高信号領域を認めなかった。術後6ヵ月の PLBでは貫通孔群50%、ソケット孔群0%であり、両群間に有意差を認めた。
【結論】より低侵襲なソケット孔群では、骨孔壁と移植腱の癒合が早期に完成する所見がMRIではじめ て明らかとなり、移植腱のより安定した生着、長期にわたる機能維持に貢献する可能性が示唆された。

キーワード:解剖学的二重束前十字靱帯再建術(anatomical double-bundle anterior cruciate ligament reconstruction)、outside-in法(outside-in method)、大腿骨骨孔(femoral bone tunnel)、 magnetic resonance imaging(MRI)、リモデリング(remodeling)



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